2016年の音楽事情(新譜ベスト25編)

2016年の新譜から好きを基準に25枚を選定、ランキング形式でまとめたいと思います。

本来であれば年末年明けに発表されてたりする感じですが、「すごい!」「いい!」くらいの貧困な感想しか呟いていない普段の音楽生活が祟り感想書くのに滅茶苦茶手間取り…さらに年明けてから聴いたものも捨て難い!入れちゃおう!いやでも…やっぱりこっちの方がよくない?みたいなことをダラダラと続けてたらこんな謎の時期に。しかし自分の性格上しょうがないかってことで当ブログも開き直ってダラっとやっていけたらなと思います。

知識不足な感想で気分を害される方もいるかと思いますが、そこはどうか広い心と温かい目で見守ってください。

 

 

それでは25位からどうぞ↓

 

 

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25.Cuong Vu Trio With Pat Metheny/Cuong Vu Trio Meets Pat Metheny
エコーがかったトランペットに切り裂くようなメセニーのギター、闇へ沈んでいくようなベース、ダイナミックなドラミングが渦のように暴れまわる。
youtubeにて公開されていた眠りにつくような甘いメロディのLet's get backに心打たれ購入したのでギャップに戸惑いましたが、これもありだなぁと思えて好きになりました。
夜明け前、靄のかかった港町、怪しげな光…そんな情景が浮かぶアルバムです。(ただ最後の曲はボートラとかでよかったと思う)

https://youtu.be/dHhKo_gA_Ho

 

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24.Stein Urheim/Strandebarm
前々作がノルウェーグラミー賞Spellemannprisen(初めて聞きましたが)にノミネートされた(らしい)マルチプレイヤーStein Urheim。
アコギ、タンブーラ、バンジョー他多彩な弦楽器とCluster&Enoよろしくなアンビエント電子音がまさかの遭遇(農作業してたらキャトられたみたいな感じ)。
6→7の冷たいインダストリアルミュージックからのギターとスライドタンブーラによるあっけらかんとした陽性なブルース、ジャズの流れとか展開が突飛でいいです。
奇妙な神秘性と味わい深く民族的な弦の音色が響くおもしろい1枚でした。
余談ですがHubroのレーベルマークの梟かわいい。

https://m.soundcloud.com/hubro/stein-urheim-strandebarm-from-the-upcoming-album-strandebarm

 

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23.Whitney/Light Upon the Lake
心の洗濯 入れる一服(大麻は関係ないです)といった感じで森林浴でもしながら湖のほとりで一服したくなるような休日感溢れる明るい1枚です。
ホイットニーの魅力はほのかに香る土とお日様の匂いの安心感。決して泥臭くはならないところがポップで胸が弾むような軽い聴き心地を生んでますよね。
ゴールデンデイズのコーラスの輝き、ポリーの焼けたトランペット…ひたすら多幸感に包まれる捨て曲なしの30分。これ聴いてドライブすると最高ですよ。

https://youtu.be/Op4HT0-W428

 

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22.Mark Barrot/Sketches from an island 2

パーティーピーポーの聖地イビザ島を拠点に活動するマークバロット。夜通し繰り広げられるギラついたダンスミュージックの狂騒から離れた、自然とともにあるチルアウト特化型バレアリックサウンドです。

現地でフィールドレコーディングしたという鳥や虫の声と、生音にこだわったパーカッションやマリンバ等が無理のないニューエイジミュージックといった感じでダラっと脱力…まさに自分の生活にフィットしている…。

晴天→スコール→雨上がりのような天候の移り変わりが目に浮かぶ4〜の流れ、その後訪れる8の切ないピアノとどこか1日の流れのような物語性も感じられて作品としても一級品です。

https://youtu.be/Hgbpd2w0aBE

 

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21.Skeletons/Am I Home?
パーカッションや木琴等の打楽器によるポリリズム、情景浮かぶようなホーンの響きといったアコースティック色が強く、lucas時の怪奇性たっぷりの酩酊サウンドが消え視界が広がった印象でした。
ベストトラックはアルバムの核を担う「Don't Smother It」得体の知れない何かが内から広がって決壊していくような感覚は鳥肌もの。
同時代に活躍したアニマルコレクティブ、ダーティープロジェクターズに比べ全く名が売れてない彼等ですがアバンなポップが好きな方は是非!

https://youtu.be/-7bLuDnw6IQ

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20.Diego Schissi Quinteto/Timba

タンゴへのステレオタイプな自分のイメージを一新してくれたディエゴスキッシ率いるキンテート作。伝統に根ざした演奏形態ながらも音響派以降を感じさせる今風なアルゼンチンタンゴです。
ピアノとギターがミニマルに繋がっていく展開の7や楽器が音を雑多に放り投げていくような9に実験精神を感じつつも、
切なさが胸に熱くこみ上げてくるような5、夕焼け空のようなバンドネオンの響きが物哀しい2他、ピアソラ、キンテートレアルの魂を受け継ぐ泣きと情熱の演奏が聴けるのも素晴らしいところだと思います。
そして緊張感ある熱いセッションにしても、メランコリーな気分の曲にしても楽器一つ一つが固定観念に囚われずいろんな機能を魅せてくれるのがいいですね。
最近のタンゴはかっこいい!認識改めました!

https://youtu.be/m4i_oTau4rs

 

 

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19.Devendra Banhart / Ape in Pink Marble
カエターノやエドゥアルドマテオにより接近した「トロピカルな彼岸」で鳴らすサウンド、加えて80年代の東京のホテルのロビーをイメージしたというラウンジミュージックが乳白色のトリップ感を生み出した通称デヴェ様8枚目。
枚数を重ねるごとにトロトロ(トロピカル&すっトロい)になっていってますが今作のトロトロ具合はマジパないです3日目のシチュー並みにトロトロ。
ですがただのトロトロBGMにならずカリンバや木琴の音色が可愛い2や5.6のようなディスコ調なノリ、幽玄な琴の音色がシンセの雲間から聴こえてくる9、アコギの音色がせつない11他ハッとさせられる遊び心は健在でトロトロだけどしっかり耳を傾けたくなるいいトロトロ感でした。(アルバム全体を通してエキゾチカな匂いが満ちているのも心をくすぐります)
購入直後に立ち読みしたミュージックマガジンに「前作より地味」的なレビューが載ってて少し焦りましたが、こういう地味さならドンドンやってって感じですね。

https://youtu.be/czOOpMBaM_4

 

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18.Steve Lehman/Sélébéyone
雷鳴のように轟くサックスと滔々と捲したてるセネガルラップが合体した鋭い1枚。
いわゆる最近のLAジャズシーンとはまた違った道を辿っている攻撃型jazz+hip-hopといった感じで全編に渡って異常な聴きごたえと疲労感を与えてくれます。
hip-hop>jazzを覆さんとばかりにリーマンがガンガンと前に出てくる2.9曲目の脳の沸騰具合はやばい。(もっと吹き荒らしてもいいぐらい)

ゆったりめな曲ばかり聴いてる自分ですがたまには鈍器のような音楽で殴られるべきだなと痛感しました。ヤバい!

https://youtu.be/YQg2R1guo-E

 

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17.Buttering Trio/Threesome

イスラエルのハイエイタスカイヨーテことButtering Trioの3枚目。割と最近聴いたんですがこれは入れなきゃ嘘でしょってことでランクインです。

一曲目からアラビアンなストリングスに意表を突かれ、ねっとりとしたドラムと引っかかるベース、オシャレに添えた軽めのボーカルでもう…即ハマり。

自国とその周辺音楽の旋法とレイト80'sな懐かシンセが絡み他のネオソウル系バンドとは一癖違った雰囲気のアルバムです。土埃感じるアラブ音楽の3.5.10、アフロリズムからサイケな世界に変身する6、エチオジャズとダブを煮込んだような8、シタールの様な間延びしたギターがラーガっぽい9等いかにも怪しげ〜な辺境の匂いが漂っています。

ただハイエイタスカイヨーテまで変則リズム、前衛性があるわけではないのでクセのあるメロディでも聴きやすさ、ノリのよさは抜群。肩肘張らずに聴けるポップな1枚になってると思います。オススメ!

https://youtu.be/ERX9EU84i9o

 

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16.Anderson .Paak/Malib
このランキングで1番の16年感!
生音のバンドサウンドによるグルーヴ、サンプリングの妙、これらに乗っかるソウル映えするハスキーな声、最高に気持ちよく体をゆらしてくれるブラックミュージックです。
曲のバリエーションの豊富さも魅力で、ジャンルを超えた異種格闘技をいとも容易く小気味いいミドルテンポに落とし込んでいて気づくと全くダレることなくループ再生な仕様。
トレンド感もしっかり捉えていて時代の寵児、新世代の誕生を感じさせるアルバムでした。
ライブを見逃したのが悔やまれる…

https://youtu.be/KXdW0g6jAxE

 

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15.Car Seat Headrest/Teens Of Denial
10代を否定し10代の記憶とともにあるバンドカーシートヘッドレスト
後悔に自己嫌悪、当てもない感情がギターと声と直結し熱量をもって響く。
エネルギーの塊のような1.3.11、どこか感傷的な5.9、長尺ながらも気づくと手に取ってしまいその度に変な感情がフツフツと湧いて出ます。
特に「Drunk Drivers/Killer Whales」この曲はいろんな場所で聴きましたね(熱唱込みで)。誰もいない仕事場、熱い浴槽、そして停まった車内で…また一つ最高の黄昏ソングが生まれた気がします。
このバンドサウンドに感動する心だけはいつまでも持っていたい。傑作!

https://youtu.be/ccztRby3FAk

 

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14.The Notwist/Superheroes, Ghost villains + Stuff
あまり話題にでないしどうかなぁ…と高を括って聴いたんですが一瞬で掌返し。すみません。ノーツイストのライブはヤバい!
組曲のようにも感じる5〜8のシームレスな流れ、ひたすら繰り返すテクノな間奏からのパイロットの泣きのテーマ等アレンジや構成が光ったライブ音源2枚組。
ネオンゴールデン以外の曲は初めてですが、2→3のテンションぶち上げな流れ、インディーロック全開な疾走感あるKongや後半にかけて浴びるような音の波が気持ちいいGloomy Planetsとむしろそっちに心を鷲掴みにされました。
はじめストリーミングで最後まで一気に聴いてたんですがCD2枚組なので8曲:8曲で分けて聴くのもありです。

これとジオーブの新譜は京都滞在中によく聴いたので、自分の中では京都=これです。

https://youtu.be/ky82s6H00Fg

 

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13.Nu Guinea/The Tony Allen Experiments

トニーアレンのアフロリズムをもとに70年代電化ジャズチックなシンセまみれのセッションを繰り広げた超ドープな1枚。

ハービーハンコック/Chameleonのようなファンキーな低音のテーマから、レトロフューチャーなシンセ、ドラムマシーンとどんどん華やかになる1や、ウェザーリポートリスペクトな6他、トニーアレンの無限に広がるリズムだけでもお腹いっぱいなのにそこへ胡散臭いフュージョンミュージックが全編に絡んでいくのだからこれはもうツボ盤になるしかない素晴らしさ。正直どの曲かけてもβ-エンドルフィンどぱどぱ!

https://youtu.be/22CME5Bl0UE

 

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12.The Heliocentrics/From The Deep

UKジャズシーン裏街道の怪しい光ことヘリオセントリクスのバンド名義作。(厳密には14年に出たセッション盤の完全版らしいです)

なかばジャケ買いで聴いてみたんですが、黒いグルーヴを生むリズムに怪奇性を孕んだサイケな音響が目まぐるしく押し寄せる非常に好みのアルバムでした。

一曲1〜2分(長くて4分)という短さながら多彩なジャンルを飛び道具のように使っていくアイディアの宝庫で、このバンドから多くの音楽に飛ぶことができる魅力がありますね。

またムラトゥアスタトゥケ(エチオジャズ)やロイドミラー(オリエンタルジャズ)、オーランドジュリウス(アフロビート)等濃すぎるレジェンド達とのコラボからの影響によって更に拡がった音楽性の幅が自由なセッションの中に表れていたと思います。

個人的にもこのアルバムのおかげで相当趣味が拡がった気がしました。感謝!

https://m.soundcloud.com/nowagainrecords/heliocentrics-night-and-day

 

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11.American Football/American Football(2)
久々に帰郷し両親、兄弟と空白の期間を埋めるようにぽつぽつと語りあった後また家を去るような…そんなアルバム。
全曲1枚目にひけをとらないクオリティで本当に素晴らしかった。
Everyone Is Dressed Upで流れる郷愁を感じさせるトランペットはずるすぎる…夕暮れ時に聴いたら泣けますマジで。(思い返せばLionlimb、Whitney、Car Seat Headrestと今年の新人インディーバンドはホーンが大活躍で涙腺にくる率高かったです)
エモ系ポストロックはあまりご縁がないジャンルですがアメフトの親和性はすごいですね。心の名盤です。

https://youtu.be/_NfnXdXpjL0

 

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10.Josef Leimberg/Astral Progressions

ジャズ+ヒップホップなLAシーンの影の立役者が遂に…ってことでプロデューサー兼トランペッターのジョセフライムバーグリーダー作。
一言で言って音が豪華!基盤を支えるドラムマシンとスピリチュアルな音世界をあわせたビートミュージックに、同シーンで活躍するミュージシャンがゲスト参加。ソウルにR&B、ラップにジャズとありったけの華を添えてくれています。曲も佳作揃いで1枚としてのクオリティも高くここら辺はプロデューサー、バックミュージシャンで培ったノウハウが存分に生かされてる気がしますね。
ジャズトランペッターとしては影響源である電化マイルスや2曲目のカマシの堂々と吹きまくるソロと比較すると少し物足りたなさを感じるものの(あくまで素人耳の個人的見解ですが)、4.6.8のように瞬間でなく空間を意識した音は後からじわーっと溢れるような味わいがあるし全体のバランス的にもこの立ち位置が正解だったように思います。(特に6とかミゲルアトウッドのストリングスと相まってかなりドラマチック)
兎にも角にもジャンルレスな曲作り、音響面はこれ系のjazz+hip-hopの中だと隙がなくトップクラスに凄かった。
17年もこのシーンどんどん盛り上がってほしいですね!

https://m.soundcloud.com/alphapup/josef-leimberg-interstellar-universe

 

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9.The High Llamas/Here Come The Rattling Trees

ここで安定のハイラマズです。(恐らく出せば間違いなくランク入りする感じなんですが)
今作は「実際に披露された演劇を元に作られたサウンドトラック」という、少しややこしい制作過程を経ての作品とのこと。
舞台はショーンが住む南東ロンドンのペッカム。ここ数年で治安の悪さが改善され様変わりしたという街で、彼が出会った6人の人物をモデルに町とそこに住む人物の過去と現在を描いた話らしいです。
このことからも分かるように限りなく地元で完結されるようなこじんまりした(いい意味で)27分間になってます。
十八番の華々しいストリングス、ホーン隊は鳴りを潜めて、温もりあるアコギやシンセ、ビブラフォン、優しく包み込むボーカルがメインの引き算的サウンド。
「ハワイ期」至上主義の方にはそれ以降の流れ特に前作、今作は物足りなさを感じるかもしれませんが、個人的には舞台が移行しただけでハイラマズの良さである「音の楽しさ」「理知的なゆるさ」は失われず、むしろ洗練されて響いてると感じてます。
「変わらないようで変わってる地元の町の情景と、なんでもない毎日に直ぐに忘れてしまう心情」そんな繰り返しの日々に寄り添うようなハイラマズのサウンドトラック。好きですね〜これからも大切に聴きたい1枚です。

https://m.soundcloud.com/drag-city/here-comes-the-rattling-trees

  

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8.Jimi Tenor/Saxentric
フィンランドの天才(と言ってのける)音楽家ジミテナーによる単独作。
レトロフューチャーなシンセと安っぽいコーラスで幕を開けアフロビートにスピリチュアルジャズなんでもござれなインチキ宇宙観が大大大好きな1枚。
随所にプカプカ浮かぶ胡散臭いモンドなオルガンにやる気なさげな電子音がたまらない人にはたまらないです…。
過去の共演盤はやり過ぎた感あるものが少なくはないけど今作はピタッとハマった傑作。
'アフロリズムマスター'トニーアレンも参加してます!

https://youtu.be/Ay-uIELwiYI

 

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7.Basel Rajoub Soriana Project/The Queen of Turquoise
シリア出身のサックス奏者Basel Rajoubのリーダー作。
砂漠の中の遺跡で目を閉じて瞑想しているような気分にさせるアラブの伝統性を感じる旋法と楽器を用いたゆったりとしたジャズです。
抽象的で淡々とした面はアルメニアの代表的ドゥドゥク奏者ジヴァンガスパリアンに通じるものがあり芸術的。
物悲しく憂いに満ちた響きは気分を落ち着かせつつも彼の祖国の現状を考えさせられますね…。
ナイサムジャラル、アフリカエクスプレス(シリアのミュージシャンによるオーケストラ作)と偶然にもシリア系の音楽に触れる機会が多かった16年後半ですがこの1枚は特に雰囲気抜群で素晴らしかったです。

https://youtu.be/qwKTCcE70AY

 

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6.Cosmic Neighbourhood/collages Ⅱ
イラストレーター(ジャケットはご自身によるものです)であり音楽家のAdam Higton氏による図画工作トイミュージック。
おもちゃの光線銃、ロボット、子ども向けテレビ番組、レトロゲーの効果音をモジュラーシンセのチープでサイケな電子音で奇妙に踊らせてイイ感じにズレててハイです。
discogsで遊んでたときに偶然発見して興味本意で再生したのが運の尽き…モノマニアな世界に引きずり込まれました。
パスカルコムラードの80年代の電子音+トイポップからの影響?日本語記事が一切無いので詳しいことはさっぱりですが面白いからなんでもいいや!
まず際物なので評価すべきなのかどうかも判然としませんが、どうしても好き過ぎて思い切ってこの順位へ。個人的に今年の最優秀サイケ賞です。

https://youtu.be/ytyDB9YPLfY

 

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 5.Shabaka and The Ancestors/Wisdom of Elders

ロンドンのts奏者シャバカハッチングスと南アフリカのミュージシャンとの共演作。国内盤(追加曲のOBSも素晴らしいので買うならこっち)の感想になります。
かつてオーネットコールマンがフリージャズとして結実させ、それに共鳴したコルトレーンによって精神的に掘り進められたアフリカ回帰的思想。そんな黒人ミュージシャン達の命題ともいえる精神的なルーツへの探求が今作ではシャバカ自身の出自と多岐に渡る音楽経歴を絡めて展開。10年代の音響とミニマルな演奏を軸にすることで過去の復刻版としてでなく現代を生きるアフロフューチャリズムな一枚になっています。
できれば1曲ずつ感想を書いていきたいとこですが文量がとんでもなくなるので別の機会にして「これ」って曲だけ。
3.The Observer.アルバムの核であり16年のブラックジャズキラーチューン的存在。壮大なピアノと野太いテナーで幕を開け、真っ黒なボーカルが入るop→印象的なベースのフレーズとカリブ海育ちのノリが奇跡を生んだアフロキューバンなドラムへの流れ。全身鳥肌でとんでもない!
4.The Sea.キャッチーな前曲から一転エコーがかったサウンドと哀しげなテーマが尾をひく1曲。ジョニーグリーンウッドやヘリオセントリクスとの仕事からの影響か電子的な音響処理が色濃く施され前衛的になっていますが、テーマに始まりテーマに終わる形、ミニマルな基礎があってフリーに展開される構成なのでひっちゃかめっちゃかに崩れたりせずバシッと決まってます。
8.Give Thanks.ドラムとtsのデュオ。ピアノとベースがフェードアウトした後コルトレーンとエルヴィンジョーンズだけが残り魂を剥き出しにした演奏を繰り広げたように(またはラシードアリとのインターステラースペース)究極的な形態。トゥミモゴロシというドラマーがスピリチュアリティーの塊で只者でない演奏してます。一方シャバカはミニマルなフレーズで精神集中した後フリーへ解放、ただ時折挟んでくるメロディアスなフレーズがセーブ地点となっているので頭痛なく聴けます(こういう平静に楽曲を成立させるところとかカマシと通じるものがありますね)。
そして最終曲シーロターベターと謎の呪文を繰り返し(個人的にvoの方が何を歌ってるのか非常に気になる)未知なる世界へ突入していくNguniで幕を閉じる。という感じで即興が入り込む余地を多くとりつつも抑制がきいていて、プリミティブで黒い魂をかんじつつも洗練されているバンドセッションを魅せてくれました。
そしてこれらの曲を踏まえたうえで全体の構成にも配慮がなされており、
印象的なテーマからドラマチックに展開していく序盤1〜3
エコーがかった音響処理により実態が薄れていく中盤4〜6
ミニマリズムからのフリージャズへ拡散していく終盤7〜9
といった具合で後半に進めば進むほど神と一体になっていくような神秘性を帯びていき、精神的なルーツの探求というコンセプトを自身の人生に反映させた物語のように紡がれていく仕組になっているようで。ジャズts奏者としての技量だけでなく、表現者としての素質も備わったアルバムになっていると感じました。
最近のジャズに開眼するきっかけとなった15年のカマシワシントン/ジ・エピック。そんな1枚へのUKからの回答という煽り文句に当初胸が踊ったものですが、当の本人シャバカハッチングスはそんな聴者のハードルを飛びも潜りも弾き飛ばしもせず、ただし逃げも隠れもしない己の道を行く素晴らしいミュージシャンでした。このアルバムはその道の門出を祝すという意味でも最高の1枚になっていたんじゃないでしょうか。
アルバム曲引っさげての来日を首を長くして待ってます!

https://youtu.be/Lkq_CZhLrII

 

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4. Radiohead/A Moon Shaped Pool

エレクトロニカ的リズムが今まで以上に追求されバンドを覆うまでに発展した前作から5年。今作はそんなサウンドから一転、体が横たわるようなアンビエントに荘厳なオーケストレーションが印象的な作風となってました。どことなくHTTT.インレインボウズのようなバンド路線に帰ってきたようでもあり、それらが好きな自分としては嬉しい限り。ただそれでいてKid Aっぽい色もかなり出てるという…めちゃ上手に良いとこ取りしてます。

また自分がレディオヘッドに求める「カタルシスのある曲構成」「イニャリトゥ映画視聴後のような虚脱感」が7、9曲目あたりにメロディは薄味ではあるけど復活していた気がします。ただそれは瞬間的でなく時間が経てば経つほど、拡がっていく感じで。何度聴いても思わず身構えてしまう美しさなんですよね。

お気に入りはThe Numbersでしょうか。入りから終わりまでこのアルバムを象徴するような曲だとおもいます。

空にポッカリ空いた穴のような月、誰かに見つけて欲しい、誰かを照らす存在になりたいが自分の心は空洞。白黒の世界に浮かび上がる永遠のテーマ。今作はそういったテーマ性、音楽性にしても10年代のレディオヘッドの決定盤となっていると感じました。

https://youtu.be/TTAU7lLDZYU

 

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3.Bruno Pernadas/Those Who Throw Objects At The Crocodiles Will Be Asked To Retrieve Them

ステレオラブ/ミルキーナイト、ハイラマズ/ハワイ…が好きな人(つまり自分)へのご褒美盤とでも言えばいいでしょうか。ともかくポルトガルの新星ブルーノペルナーダス3枚目これがマジのマジに大当たりでした!
同年発売の2枚目から伺えるようにジャズ畑の人らしいんですが今作は、上記のバンドも影響を受けた70年代の「ラウンジミュージック、トロピカリア、映画音楽、エキゾチカ」をインディーロック、ジャズのノリを基盤にツボ押さえまくりなポップミュージックに仕上げてます。
スローテンポにチープなアナログシンセの美しいメロディでゆったりと下降していくValley in the Ocean
胡散臭い映画音楽とオーケストラが楽しいGalaxy
等どの曲も最高で加えて全体的にコンセプチュアルな意匠が凝らされてるのも素晴らしいですね。
特に超展開を魅せる13分の大作Ya Ya Breathの集大成感と最終曲への繋がりがやばい!ライブだとどうなるんだろうか…?ていうか見たい!誰か呼んで下さい!
とにもかくにもこういう音楽が好きな人にとって特別な1枚が生まれたって感じで、次作の完成を早くも待ち望んでます。

https://youtu.be/U424AdYxt54

 

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2.Directorsound/Into the Night Blue

時流とは無縁の音楽ですが、タイムレスでかけがえのない温もりと優しさを内包した音世界は気づけば16年の夜の中心でした。ということで2位。UKの宅録マルチ奏者ニックパーマーによる月夜の南国へ誘う極上の深夜ジャズです。

多彩な楽器で彩られたトロピカリア、エキゾチカのラウンジムードとクールジャズの涼しさが、ベッドの上の丁度いい安らぎを与えてくれます。そして時折見せるロマンチックでノスタルジックなメロディに心の底からうっとりさせられる。もうただただこのアルバムを聴いている時間が好きなんですね。

ラップスティールのとろける音色がハワイアンムードたっぷりの2、宅録感溢れる私的なアコギの3、涼を運ぶ潮風のようなピアノとサックスが絡む4.7、アコーディオンとオルガンからメリーゴーランドの楽しげな万華鏡世界へと変わる5、メインの楽器を変え四季を表現した6と

そりゃもう全曲いいので是非とおして聴いてもらいたいのですが、個人的にこれはやばいなぁと感じたのが1.Once upon an ocean、8.On a boat to the moon。この二曲が本当に美しくて美しくてたまらないのです…静寂に包まれた海岸から月に照らされた水平線の向こうを見つめ、懐かしき日々を思い返すかのような情感たっぷりのメロディに思わず涙。特にアルバム最後を飾る8ですが溜めていた感情が堰を切って溢れ出す4:20〜はもう…感極まってダメだ泣きます。どんなに感傷に浸ってもあの頃は返ってこない、だからこそ今を大切に過ごそうねと言ってくれているような優しさに溢れた曲です。そしてアコーディオンとラップスティールがやんわりと受け止めて夢に落ちるようにな幕引きも格別。

このランキングは自分の趣味全開で極めて独りよがりなものになってますが、このアルバムだけは多くの層へ自信を持っておすすめしたいです。

https://m.soundcloud.com/tona-serenad/directorsound-once-upon-an-ocean?in=tona-serenad/sets/directorsound-into-the-night

 

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1.DMA's/Hills End

駆け抜けろ!青春ど真ん中!ということで1位はこれ!
FRF'16第6弾ラインナップ発表ビデオで流れた「Lay down」のイントロで脊髄に電流が走りEP(これも良かった)と併せて買ったAUSのインディーブリットポップ3人組の1stアルバム。(1枚目ってとこもポイント)
説明不要!とにかく聴いてもらったらわかる!ってやつで、まぁ有り体に言ったらストーンローゼズ、オアシス、ライドのフォロワー的バンドなんですが。そんな「手垢の付いたジャンル」だからこそ奇を衒わずに'どストレート'に突っ走ろうぜ!という無邪気さには今年1番の音楽的思春期の復活を感じました!やっぱりこの感覚こそが自分の求める“ロックバンド”なんだろうな。
上記のバンド同様ギター重ねて聴き心地いい歌メロでってのが売りなんですが、必ずどこかでジャカジャカやってるアコギと粘度少なめなボーカルが、カラッとした空気とともにたまらない清涼感を出していて…これのせいで何回聴いたことか分からない。たぶん1年で1番リピートしたと思います。
曲でいったらはじめ5曲(特にLay down、Delete)の初速が近年稀に見るブチ上げ具合で、ここだけでいったらブリットポップ全盛期にも大活躍できたであろう出来。その代償か意図したものか分かりませんが後半はしっとり系がメイン。ですがこれはこれでグッドメロディ。ただEPと合体させて作ってたら…と野暮なことを邪心したりもしますが、まぁ細かいことはこの際言いっこなしです。
フジロックでのライブも個人的に最高潮で10年選手のバンドがベスト盤から選曲してんじゃないのかってくらい盛り上がりでした。そして最終曲のPlay it outが流れた瞬間はかなり震えましたね…また見たいなぁ。
サイケロックが活躍するAUSインディーロックシーンから距離を置き、一聴すると若気の至りともとれる路線をひた走る彼らですが、声もメロディセンスも佇まいも(向こう見ずな構成も)全てにおいて大好きです!これからも頑張って欲しい!

青春真っ最中な方、かつて青春してた方全員に聴いて欲しいそんな1枚になっています。最高!

https://youtu.be/l5bHGMDAgOo

 

 

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ということでこんな感じになりましたが、いかがでしたでしょうか?というかここまでで約13000字にもなってますが、果たして通読するような珍奇な方はいるのでしょうか…気にしたら負けです。

15年から明確にジャズという底なし沼に足を突っ込み、時を同じくしてロックリスナーの前に流星の如く現れたカマシワシントンの衝撃に木っ端微塵にやられた影響で2016年はジャンルレス、ボーダーレスを意識して感性にあう音楽を掘りまくった最初の年でした。

特に昨今自分の心を動かしてやまないクロスオーバージャズ、ニューエイジ民族音楽、チープなシンセの四大要素が選定するにあたり重要なポジションとなっていた気がします。それを踏まえると要素皆無のDMA'sが一位というのは凄い。ここはもうほんと力業でやられましたね。

なお今後ブログで紹介する音楽事情もそういった要素と、この25枚から感じてもらえるであろうテイストがひとつの指針になると思います。好きなアルバムが1枚でも被った方は趣味が合うということで今後もご贔屓によろしくお願いします。

それでは。